このページでは「精密屋」精密ウレタンクリアを使った我流の「つや消しウレタンクリア」について説明しています。
下地処理、塗り方、気候条件、塗料などの違いにより同じ結果にはならないかもしれないのであくまで参考程度にご覧ください。


本来、カーモデルのツヤが売りの精密ウレタンクリアですが変形モデルは言うに及ばず可動モデルのガンプラにはその塗膜の強さが魅力的に感じました。
しかし、つや消しフィニッシュがメインの私なのでウレタンクリアの上からラッカーのつや消しコートをしてみたら?ということで試してみました。
基本的な作業順としては
サーフェイサー(ラッカー)⇒基本色塗装(ラッカー)⇒精密ウレタンクリア⇒墨入れ(エナメル)、デカール貼り⇒つや消しトップコート(ラッカー)というものです。

○サーフェイサー、基本色塗装
ウレタン塗料はプラスチックを侵す性質があるのでプラに直接は塗れません。
精密屋さんには専用のサーフェイサーなども販売されていますがどうせ上から基本色を塗装するのでMr.サーフェイサー1000で行います。
基本色塗装はMr.カラーです。

○精密ウレタンクリア
この塗料は主剤10に対し硬化剤1、希釈剤1〜2(粘度を調整)を混合して使います。
一度混合したものは密閉しても硬化するので取り置きは出来ません。
説明書によると7時間以内に使い切り、エアブラシは使用後30分以内に洗浄とあります。
洗浄は硬化前ならラッカー系の溶剤でも落ちるようですが半硬化状態だと「精密屋パワフルクリーナー」(250cc、1,500円)を使った方が良く落ちます。
完全硬化後もパワフルクリーナーで少しずつ落ちるようですがかなり落ちづらいです。

規定通り混合し0.3mmノズルのエアブラシで塗装。
塗った感じは普通のラッカーとほとんど変わりませんが乾燥が遅いようで20℃以上で約80時間の乾燥時間後の作業を勧めています。
塗った直後に乾燥が始まるラッカーと違いしばらく乾燥しないので接触やホコリなど注意が必要です。
溶剤が乾燥して硬化するラッカーなどの塗料と違い、塗ったあとに塗膜が薄くなることがないのであまり厚塗りする必要はなく、逆に厚く塗りすぎると筋彫りやモールドを埋めてしまう心配があります。
またウレタン塗料はラッカーなどより毒性が強いという話を聞いたのでマスクや換気に注意しましょう。
塗装後は丸3日約80時間弱乾燥させました。

○墨入れ、デカール貼り
もともとレースカーモデルなどのデカールを貼ったあとに研ぎ出し段差をなくすのにも適したものなで、デカールはウレタンクリア塗装前に貼って研ぎ出し段差を無くしてからつや消しトップコートというのも可能と思われますがインレタのガンダムデカールなどとの相性がまだわからないのでデカールは後にしました。
墨入れはタミヤのエナメル。
当然ウレタンはエナメル溶剤には侵されないので拭き取りも問題ありません。

○つや消しトップコート
せっかく美しいツヤが出ていますがMr.カラーのビン入りトップコートつや消しと半つや消しを1:1で混ぜたものを上からエアブラシで吹きます。
塗装は普通にのりますが乾燥後に見ると厚く塗ったところは若干ひび割れらしきものが見られます。
あまり厚く塗らなくてもつや消し効果は充分でウレタンクリアで塗膜は守られているので通常より薄めで良いようです。

○結果
つやつやのウレタンクリアの上にラッカーのつや消しをコートしたのでラッカーだけはがれるかと心配でしたがラッカー塗料によってウレタンの表面が多少溶けラッカーの食い付きは良いようで期待の塗膜の強さもなかなかのようです。
テストピースで通常塗装がはがれると思われる強さで爪で引っかいたところ表面のつや消しのざらつきに変化がありますがはがれる事はなくクリアランスの取れない関節の場合、接触箇所に傷は付きますが下地の色までははがれていません。
ポリキャップではないプラに強く接触するところは多少はがれが見られます。
ウレタンクリア層を厚くすればより丈夫な塗装になると思いますが筋彫りなどが埋まらないように対策が必要でしょう。

塗膜の厚さにもよりますが10cc程度で普通のMG一体は塗れると思いますので1セットでMGで約10体ぐらいはいけそうです。
決してお安くはない精密ウレタンクリアなので全部ではなく関節部、可動や変形の際接触する箇所など塗装のはがれの心配なところに部分的に塗るのも可能だと思います。
ただ、未混合でも開封後は6ヶ月程度で使い切るように説明書にあるのであまりチマチマ使うのもきついですが…

個人的にはちょっと高めな価格、流通の少なさによる手に入りにくさ、混合後は使い切らなくてはならないなど取り扱いの面倒さ、塗装の工程が増えるなどデメリットもありますがせっかく何週間もかけて作ったプラモの塗装が組み立てた途端「パリ・・・」というショックを考えれば塗膜の強さというメリットは大きいのではないかと思います。